購入価格 ¥一般に高いと言われている
De Rosaの廉価版カーボンロードバイク・R848が、好事家のあいだでちょっとした話題になっていたようだ。恥ずかしながら私はさっき知ったばかりである。どうやら、台湾のXpaceというメーカーが、「FM-R848」というフレームを出していて、その後に発表された「De Rosa R848」(完成車)のフレームが、「Xpace FM-R848」とほとんど、というか全く同じフレームだったらしい。しかも、デローザが「FM-R848」のライセンスを買収した結果、台湾Xpaceのサイトからは「FM-R848」に関する情報が消えた、という噂がある。
ただし、真偽は不明である。本当は微妙に違う事態が発生していたのかもしれない。が、おおよそは上記のようなことではないかと思われる。
「中華カーボン」と総称される製品群について、良し悪しを論じるつもりは私にはまったくない。というか、今のところ中華カーボン製品を持っていないので、評価のしようがない。良いものもあれば、微妙な品質のものもあるのだろう。
「Xpace FM-R848」については、イタリアの名門自転車工房・De Rosaに買い取られた、あるいは買い取られたという噂があるくらいなのだから、非常に優れたカーボンフレームであるのは、間違いないだろう。
ところで非常に興味深いのがインターネット上に存在する「De Rosa R848」のインプレ記事である。軽く検索しただけでも、「Xpace FM-R848」と「どこも違ったところがない」はずの「De Rosa R848」は、経験豊富な様々なインプレライダーの方々によれば、単にお求めやすい価格の入門バイクというだけではなく、どうやらデローザの魅力を余すところなく伝えており、乗り味も非常にデローザらしく仕上がっているらしいのである。まさにロードバイクを知り尽くしたデローザならではの設計が光るフレーム、という評価が散見されるのである。
これは一体、どういうわけか。デローザによって買収された「Xpace FM-R848」が、「De Rosa R848」のフレーム部分そのものであるなら、インプレライダー各氏が、「De Rosa R848」にデローザ・テイストを感じるはずがない。De Rosa社が設計に一切関わっていないのだから、「De Rosa R848」が「デローザっぽい乗り味」のはずがないのだ。
とすると、考えられる可能性としては、
1. Xpace社の FM-R848は、デローザのロードバイクの乗り味を徹底的に追求し、そのテイストを完璧に再現することに成功した非常に希有なロードバイクフレームであり、インプレライダー諸氏もその「Xpace社によるDe Rosaへのオマージュ」を感じ取った。
2. そもそも、「Xpace FM-R848」をDe Rosaが買収した、という話が、根も葉もない作り話である。
いずれかではないだろうか。
いや。ここで私は、第三の可能性に思い至ったので、それを述べてみたい。それは、
3. 既に半世紀以上の歴史のある「De Rosa」ロゴには、現代科学では説明のつかない超自然的な力がある。すなわち「De Rosa」の純正ロゴをフレームに貼付けてクリアコートをかければ、素材となるカーボンフレームの振動吸収性能・振動減衰特性が「De Rosa」に特徴的なそれに変化する、という不思議なパワーがある。
つまり、「貼るだけでクルマや自転車の性能が向上する」として売られているステッカーのような製品、あれに近い効果が、「De Rosaロゴ」にはあるのである。ベースとなるフレームは、もはや職人が一本一本まじめに制作したチタンフレームや、クロモリフレームである必要はない。素性の良いカーボンフレーム、たとえば「Xpace FM-R848」のような優れたフレームであっても、勿論良い。そこに「De Rosa」ロゴを貼る。すると、そのフレームは、誰がどう乗ってもDe Rosaのバイクでしか味わえないはずの乗り味を提供するようになる。
「スーパーブランド」とは、まさにこうした、神秘的とも呪術的とも呼べるような、人知を超えた不思議パワーを持ったもののことを、言うのである。自転車の世界で、そんなすごいブランドは、たぶんDe Rosaだけなのかもしれない。
価格評価→★☆☆☆☆ やや割高になってきている予感
評 価→★★★★★
<オプション>
年 式→1953〜