購入価格 30ポンド前後@wiggle
馬鹿野郎!
「1kgの軽量化で1分の短縮」だの「車輪の重量100gは車体の重量1kgに匹敵する」だの
バイクの軽量化はいいが肝心の自分の軽量化はどうなったんだ!
たとえ俺がアディクトを駆ったところで、ウィギンスはママチャリに乗って容易に俺をチギっていくんだよ!
とはいえ、俺も努力の末に伸び悩み、ついにタイヤの軽量化という悪魔の果実に手を染めたことがありました。
どうやら俺の価値観を360度変えた友のあの言葉について語るときが来たようだな・・・
今年も英彦山サイクルタイムトライアルの季節がやってきた。
俺は今まで3回出場し、そのリザルトは
【2009年9月27日】
50分33秒53、最大心拍???、平均心拍163、消費カロリー667cal/27%FAT
【2010年9月26日】
49分●●秒03、最大心拍???、平均心拍159、消費カロリー637cal/29%FAT
【2011年9月25日】
46分●●秒46、最大心拍???、平均心拍163、消費カロリー610cal/23%FAT
では、そこに至る過程はどうかというと、
2009年の年間走行距離は10640.2km、白糸登頂回数59。
2010年は年間走行距離は12742.9km、白糸登頂回数77。
2011年は年間走行距離は12237.1km、白糸登頂回数68。
そして2012年は… 8月現在で7720km、白糸登頂回数66。
もちろんヒルクラTTもチンタラ回数だけこなせばいいというものではないが、
年間走行距離とTTの回数はある程度の指標にはなる。
2011年が前年比で3分余短縮と、ややできすぎの結果であったので
今年さらに記録を更新するためには、同じようなトレーニングをしていても頭打ちになってしまうだろう。
そう考えた俺は、今まで休日に必ず一本実施していたヒルクライムトレーニング、通称「白糸TT」を
休み明けや体調のいい時は連続で2本行うことにしたのである。
その結果、年間走行距離は8月現在で7720km。これは月1000kmペースで例年の水準に達するだろう。
白糸登頂回数はというと、早くも2011年の年間通算に届こうとしている。
どうやらいい感じで練習強度を上げることができているようだな・・・
その日も俺は、チームメイトのたけしとともに、白糸TTトレーニングの真っ最中だった。
たけしは最近体調がよく、よくトレーニングもできているようで、
いつもの山のふもとまで俺からちぎれることなくついてきていた。
デヤァァァーーー!
白糸TTを前に入念にアップをしようと、俺の高回転ペダリングがうなりをあげる。
おっと、TTに入る前に、タイヤ表面の異物をチェックしないと・・・
俺はおもむろに愛車のRNC7を停めると、
まず後輪、続いて前輪を、まずは目視で異物が刺さっていないか、亀裂はないかを確認した。
そしてグローブの腹でシューッとして、表面の汚れを払い落した。
PANARACER TYPE L のような軽量レーシングタイヤは、細心の注意を払ってあげないとな・・・
はじめの1kmほどの緩斜面を、エアロポジションで力強く俺が引く。
この区間ではほとんど差は出ない。
ほどなくグッと傾斜が上がり、山が挑戦するものをふるい落としにかかる。
ヌオォォォォーーーー!!
軽量レーシングタイヤのPANARACER TYPE L をしならせて、俺のダンシングが炸裂する。
たけしはと見ると、高耐久性で評判の4000Sを装着している。
・・・馬鹿め!!
PANARACER TYPE L の重量は189g(実測)。一方、4000Sの重量は209g(実測)。
その差20g、前後で実に40gにもなる。
車輪の重量100gは車体の重量1kgに匹敵する、というが、
ならば俺はたけしに対して400gものアドバンテージを有しているのである。
しかし、たけしはしぶとく俺にくらいつき、最後の激坂区間では渾身のアタックを決めて、なんと俺をちぎって勝利したのだ。
馬鹿な・・・実力が同じなら、軽量タイヤを履いた俺がなぜ負けるのだ・・・
釈然としない風の俺に、たけしはこう言った。
たけし「つよし、お前はよくタイヤのことを気にしているな。
表面の異物チェック、それは一回のライドごとに数分だろうか。
それに、より頻繁になるタイヤ交換、パンク修理の時間も加えると、差はより広がるだろう。」
俺はその時間をトレーニングに充てたんだ。この4000Sを履くことでな。」
俺は瞬時にして今日の敗因を悟った。
確かに、TTであと数秒を削ることができるタイヤは他にもあるだろう。
しかし、たけしは高耐久性のタイヤをはき、メンテナンスの時間を短縮することで、トレーニング時間を増やしたのだ。
たけしは言う。人は皆、心につぼを持っているのだと。
このつぼには、努力をすると水がたまり、つぼから水があふれ出したとき
(つまり、つぼいっぱいに水がたまったとき)、その努力が実るのだと。
形になって現れるのだと。
しかし、この努力のつぼは、人によって、努力するものによって、大きさが違う。
すぐにいっぱいになる、成果が実るつぼもあれば、一方で、なかなかいっぱいにならないつぼもある。
大きなつぼのことである。
大きなつぼはなかなかいっぱいにならないので不安になるが、
少しずつでも、時間がかかっても、確実に水はたまり続けている。
そんな大きなつぼにも、いつか必ずいっぱいになる日が訪れる。
努力が実らない日々が長ければ長いほど、つぼが大きければ大きいほど、
いっぱいになってみれば中に入っている水は多いものなのだ、と。
この話を聞きながら俺はいつしか、物心ついた頃のおぼろげな記憶と対峙していた。
今ならわかる。
人目をはばかるようにあわただしく車に乗り込みながらおじいちゃんが言っていた、あのときの言葉の意味が―――
俺「じぃじー、どうして夜中なのにお引越しするの?」
おじいちゃん「ただしの嫁が壺を売る詐欺に手を染めてな。もうこの町にはいられないんじゃよ」
そしてたけしは、最後にこう結んだ。
努力の結果が思うように出ず、不安になることもあった。
しかし、俺の心にある「大きな努力のつぼ」にたまった大きな力が、花開く日が必ず訪れることを信じた。
だからつよしも、安易に軽量パーツに走ったり、タイムが伸び悩んだからといって努力をやめたりしてはダメだぞ―――
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要点をまとめます。
こういう走りをしている私のタイヤ選びの基準は
1に上りの軽快さ、甲乙つけがたく耐パンク性、3・4がなくて、5に耐久性、です。
クライマーなので上りの軽快さは外せないが、パンクは非常に嫌なもの。
さぁ今からTTいくぞという時にパンクというのはその日一日のやる気を一気にそいでしまうし、
ましてや人里離れた山奥でパンク修理などまっぴらごめんである。
下りのさなかでのパンクは命にかかわるしね。
ぶっちゃけ、私は耐久性はわりとどうでもいいと思っています。
3000kmなら3000kmでいいから、その間ガッチリとパンクから守ってもらえれば。
一方、グリップ性、とくにウェットグリップはほとんど考慮しません。
雨天では乗らないし、下りカーブを攻めるなんてことはできもしないからです。
ちなみに、タイヤ着脱の容易さはタイヤの評価基準には入りません。
新品ならタイヤレバー一本。一度でも着脱したタイヤなら、素手で着脱できます。
もし、タイヤレバーを2本使っても着脱ができない、という人は、安易にゆるいタイヤを選ばないで
悪いことは言わないから一度上手な人にやり方を学ぶことをお勧めします。
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高速巡航性
★★★★☆
まぁ、巡航速度は平地で28~35km/h(平地を単独・無風状況下で3時間走った時のサイコンAVEが30km/hくらい)の私が
「高速」巡航性を語るな、ですが。
固いけれどもスムーズに回る。加速は気持ちいい。です。
このタイヤのおいしいところは、もっと高速域にありそうです。
上りの軽快さ
★★★★☆
パナのTYPE L と比較すると、「おぉっ、軽い!」と情熱に語りかけてくる感覚はありません。
しかし、数値でみると、速度に有意な落ちは見られないようです。
乗り心地
★★★☆☆
「固い」というインプレをよく目にしますが、その通りだと思います。
ただし乗り心地が悪いとは思いません。
固いけれどもスムーズに回る感じは気持ちがいいです。
ただし、しなやかさ、しっとり感、衝撃吸収をタイヤに期待する人は、がっかりするかもしれません。
グリップ力
★★★☆☆
正直、評価できません。攻めないから・・・
とりあえず、グリップが弱い、ブレーキの利きが悪い、などと思ったことはありません。
雨天で走らない、コーナーを高速で攻めない、ならば必要十分なグリップでしょう。
耐パンク性・耐久性
★★★★★
素晴らしい。
約1年、走行距離8500km(うち2421kmは後輪として使用、現在は前輪に履いている)時点で、初めてのパンク。
それもリム打ちでも貫通でもなく、チューブのバルブ根元の劣化。
タイヤが異物を通したわけではないのである。
まだタイヤ摩耗インジケーター(小さな丸いくぼみ)が残っているので(この走行距離で!?)
チューブだけ交換してまた前輪に戻しました。
8月いっぱいをこのタイヤのまま走ったとしたら、走行距離は9000kmを超えるでしょう。
すごい数字です。
とはいえ、おいしい時期はもう終わっているし、いいかげん交換時期だと思うので、
9月末の英彦山CTTの前に交換するつもりです。
ちなみに、現在の後輪は、後輪としてのみ使用(ローテーションなし)で走行距離約6000kmです。
ノーパンク、インジケーター残りあり。
総じて、レースに、トレーニングに、走りに集中させてくれる良タイヤ。
TTであと数秒を削ることができるタイヤは他にもあるが、この走行性能の高さにあって極めて高い安心感は稀有である。
海外通販で安く手に入るのも良い。
レースに、トレーニングに、通勤にガンガン使う。走りの良さは楽しみたいがパンクは嫌、というならこれ一択。
次点でパナのTYPE D か。
価格評価→★★★★★(驚愕の超ロングライフ。しかも海外通販なら普段履きの価格)
評 価→★★★★☆(「これは・・・いける!」とワクワクする軽さはない)
年 式→2011
実測重量 209g