購入価格 ¥3445(Chain Reaction Cycles)
・言わずもがな、老舗ロードタイヤブランドVittoriaのボリュームレンジを担っていると思われるグレード、Rubinoです。
今回手にしたのは、G+と言われる、グラフェンを配合した2016年にモデルチェンジを果たしたモデル、その中でもとりわけ軽量、軽快性を売りにするのがRubino PRO SPEEDです。
・そもそも、素人目にはやや混乱するものですが、VittoriaのWO(Wired On)規格のロードタイヤは「オープンチューブラータイヤ」のものと「クリンチャータイヤ」のものがあって、オープンチューブラーと言うのは、チューブラータイヤの製法でWOタイヤを作ったというもので、これはOpen Corsaシリーズがそれに当たります。
RubinoはOpen Corsaとは異なる製法で製造されるクリンチャータイヤで、どちらもWO規格であり、実質どっちも「クリンチャータイヤ」と言っていいものではあるんですが、製法が異なります。
現状オープンチューブラーと言えるWOタイヤを製造してるのは、Vittoriaの他にGomitariaかCharangeあたりでしょうか。
・Vittoriaのブランドの中でレーシング的なハイエンドタイヤといえばOpen Corsaがそうであり、Rubinoの位置づけといえばセカンドグレード……
ましてモデルチェンジ以前は、クリンチャータイヤの上位モデルDiamanteがありましたから、どうしてもRubinoと言うと、家と駅までの往復に使っちゃうようなお気楽デイリーユースタイヤ、という印象がありました。
2016からVittoriaはラインナップを一新、新技術であるグラフェン配合という謳い文句とともに、Diamanteシリーズは実質Rubinoシリーズに統合される形になり、オープンチューブラータイヤはOpenCorsaシリーズで主に競技用という位置づけに、クリンチャータイヤはRubinoシリーズでオールラウンドに使えるよという位置づけ、という住み分けになりました。
これだけ言えば、ハイエンドはOpenCorsaであり、 割とメーカーの技術を楽しむならそれかなという感じもするのですが、どうもプロモーションの話や、ソーシャルメディアで他の人の話や呟きを調べてみると、Rubinoがなかなか良いというお話です。
以前のDiamanteに置き換わる形という話も見受けられる。
・Vittoriaは、以前から慢性的にウェットグリップ性能が低いという欠点があって、自分も以前Diamanteを履いていた時に、アスファルトの継ぎ目で前輪を滑らせて落車したこともありますし、実際プロのレースでもウェットコンディションで……何年か前のリエージュ~バストーニュ~リエージュだったか……ゴール前の最後のカーブでVittoriaを履いた選手が、単独でひっくり返ったのを見た覚えもあったり……
……応援していたセップ・ファンマルク選手の一時期のパンク癖もVittoriaのタイヤを履いていた時に起きていたことでした。
ウェットコンディションでもダウンヒルや林道に突入しないといけないブルベを嗜む身としては、そんな理由からどうしても手を出しにくかったVittoriaのタイヤですが、どうもモデルチェンジしてからは評判が上々、2016年のクラシックレースでも、セップ・ファンマルク選手はパンクによる脱落もあまりなく、パリ・ルーベでもベロドロームまで勝負にもつれてる……
こりゃあ、ちょっと試してみようかな、という感じでの購入でした。
・自分自身はタイヤの摩耗にはあまり悩んだこともないのもあって、軽量モデルのPRO SPEED G+をチョイス。
通常モデルのPRO G+と比べると、トレッド面のゴム層が薄いみたいで、実際の耐パンク性能やグリップ性能を犠牲にしているわけではなさそうということで、なかなか好都合です。
太さはロングライドを意識して25Cをチョイス。
・装着して乗ってみると、非常にスムースなタイヤです。
(チューブはパナレーサーR-Airを使用しています)
Vittoriaはモデルチェンジ以前のRUBINO PRO SLICKも履きましたが、その先代モデル譲りの蹴り出しの気持ちよさ、トラクションの掛かりの良さは健在で、爽快感ある加速を見せてくれます。
もちろん軽量モデルだから単純に軽い、というのもありますけど、それとはまた違った蹴りだしの良さ、コンパウンドがアスファルトを掴んで推し進めてくれる感じでしょうか。
ああ、Vittoriaはこういうのだよね、Rubinoってこんなのだったよねという感じです。
転がりも非常にいいですね、足を止めた時の失速感が薄く、滑走してくれる。
グリップ感は強いと感じるというほどではありませんが、コーナーで思いっきり自転車を倒しても、下りでハードブレーキしても、グリップに一貫性があってコントラーブルなのは確かです。
これはタイヤそのものがしなやかで、アスファルトのアクションに対して、きちんと合わせてくれる路面追従性によるものかなとも。
タイヤはセンターがスリックで、両サイドにやや浅めにサイピングパターンが掘られていますが、これもなかなか良く出来ています。
真っすぐ走ってる時のロードノイズと、コーナーで自転車を倒した時のロードノイズが、このサイピングパターンによって音が変わるので、音で「今、自転車をどういうふうに動かしているのか、タイヤがどうなってるのか、どれくらい変形してるのか」というインフォメーションが伝わってきます。
こういった部分からも、タイヤのグリップ限界をつかみやすい……よく考えられてるなと。
注目のウェットグリップですが、なかなか、そう悪くはなさそうです。
ウェットでの10%勾配のダウンヒルを走りましたが、減速時に後輪が突然ズルッとロックすることはありませんでしたし、ハンドリングもドライ時と印象が変わってしまうようなこともなかった。
ただ、非常にしなやかなタイヤなので、カーブで自転車を倒しこむと、結構タイヤ自体変形します。
空気圧も最大7.9気圧で、それに近いところで使ってますが、サイドウォール自体は乗り心地が良い反面、剛性あるという感じではないので、高出力でもがき倒した時に、タイヤがスタンディングウェーブ的なロスをしているような印象を受けます。
やはりレースのようにスプリントするタイヤではない感じですね。
どちらかと言えばファストランやロングライド、ブルベなどで、アップダウンやあらゆるシチュエーションで淡々とハイペースを刻んで行くライドが似合いそうです。
摩耗はグラフェン配合でだいぶ良くなってると思われますが(現在1200kmほど走って、後輪のパーティングラインが消えたくらいです、前輪は残ってます)そもそもPRO SPEEDのグレードは摩耗にはあまり強くない軽量モデルなので、タイヤの摩耗を気にする方は、普通のRUBINO PRO G+のチョイスが良さそうです。
・余談ですが、このタイヤを履いて思ったのは、タイヤの進歩はすごいということですね。
今まではミシュランPRO4SC(V2含む)を履いていて、これもなかなかよいタイヤでしたが、所詮2012年のタイヤなんですね。
転がり抵抗も、グリップ感も、トラクションの良さ、路面追従性、スムースさ、すべての面でこのRubinoのほうが優ってるように感じます。
これはRubinoが単純に優れてる、というよりも、もう根本的に次元というか、時代が違う、そういう印象を受けました。
ガイツーでは旧世代のハイエンドタイヤが、結構魅力的な価格で放出されてますが、やはりタイヤは最新を味わうべきだ!と思う吉宗でありました。
価格評価→★★★★★(安いです、国内定価も見直されて良かったと思います)
評 価→★★★★★(非常に良いタイヤです、もっと評価されていいと思うタイヤですね)
<オプション>
年 式→2016(価格改定後のモデル)
カタログ重量→ 205g(概ね間違いないと思う)