購入価格 ¥155,000+税
Wahoo Fitnessのスマートトレーナー。「石畳振動再現機能」は残念ながら搭載されていないものの、斜度に応じてフロントフォークを上下させる悪魔的オプション「KICKER CLIMB」が近日登場するらしいです。
スマートトレーナーなだけに、トレーニングアプリを使うとアプリケーションが指定した出力に応じて負荷が自動調整されます。「200Wを10分間維持しろ!」と言われたが最後、フロントをインナーにしようがリアを禁断の32Tに入れようが、脚にかかってくる負担が変わりません。これ、なんていう地獄ですか?
●デザインに飾り気なし。
持ち運び用のハンドル、スプロケ、ドライブトレインとフライホイールがスチール製のフレームに固定されていて、非常にガッチリした感じのつくり。デザインに飾り気はなく、どちらかというとスマートというよりは無骨な印象です。
●重量は安定感の裏返し。
本体は、約20kgの重量があります。正直、重いです。すごく重いです。とてつもなく重いです…。それが漕いでいるときの安定感とトレードオフなのは理解していますが、設置にかかる身体的負担は相当なもの。本体を持ち上げて移動させるたびに、腰に崩壊の序曲が流れてしまうのでは…という恐怖に苛まれます。これ、脚よりも先に腕のほうが鍛えられてしまうんじゃないでしょうか?
本体脚部は開閉が可能。収納時の占有面積は、最小限に抑えられます。開閉部分にはロック機構が付いているので、漕いでるときに意図せず脚が閉じる→転倒 みたいな心配はありません。
●隣家や階下に気兼ねはします。
ダイレクトドライブ方式で静粛性は高い…はずですが、それなりのノイズは発生します。トレーニング中のノイズは、大きく分けて2種類。ペダリングの振動からくる「ぐごーん ぐごーん」という床を震わせる低周波音。そしてフライホイールの回転に応じて発生してくる、「みょーんみょんみょん」という高周波音。どちらも回せば回すほど、ノイズレベルが上がります。
低周波ノイズの方は床と本体の間に緩衝材(グロータック「ブルカット2」)を入れることで、大幅な改善を図ることができました。また、高周波ノイズのほうは扉1枚隔てれば、かなり抑えられる程度のもの。とはいえ、集合住宅住みなだけに、ガシガシ回すのは全自動洗濯機を隣や階下に気兼ねすることなく回せるぐらいの時間に留めるほうが良いなー、と個人的には思っています。
●バーチャルだろうと坂はイヤ。
「漕いでみてどうなのか?」というのは主観によるところが非常に大きいので、あくまで個人的意見ではありますが、実走感が非常に高いです。これが機構的なものによるのか、画面内の変化に応じて負荷が変わるスマートトレーナーだかならのか、はたまたその両方なのかは正直判別がつきません。ですが「自転車で走ってる」という感覚は、かなりリアル。なので画面の中でも坂が近づいてくると、実際に走っている時と同様にものすごーーーーーーーーーーくイヤな気持ちになります。また、Tacx Neo smart T2800のレビューでmorihikoさんが書かれていたような「足を止めてもフライホールが回る」という動きはせず、負荷が軽くなるだけに留まります。
本体が重い分だけ安定感もあります。全力でダンシングしても、不安な感じは微塵もありません。発売当初からチームSKYが使用している条件下にありながらも、大きなモデルチェンジをしていない。つまり、それだけ完成度が高い。というのが売り文句らしいですが、素直に頷けるデキです。
●iPadではアッサリ接続。
PCやタブレット/スマートフォンとの接続はANT+とBluetooth。Bluetoothのケイデンスセンサーが付属してくるので、iPadであればBluetoothの心拍センサーを買い足せば、ケイデンス/スピード/パワー/心拍をフルに測定できる環境が整います。接続は非常にスムーズで、何の苦もなく認識させられました。
また、標準で付属しているスプロケはSRAMの11速。私の使用環境(アルテ6800)だと、チャリチャリ音が気になり続けたのでシマノ製に交換しました(「変速調整が下手すぎるだけだろ!」というツッコミ不可)。
それと1点だけ、注意事項が。付属の電源ケーブルはコネクタが海外仕様で、そのままではコンセントに入りません。変換アダプタを用意するか、専用のケーブルを購入しておく必要があります。
●蛇足。
購入を検討した際、もっとも大きな障壁のひとつは「初期投資が非常に大きいこと」。ですが、ダイレクトドライブ方式のスマートトレーナーは経済的に優れている点が数多くあり、やりようによってはランニングコストで初期投資を回収することすら可能だということに気づきました。
たとえば…
・タイヤが減らないので、タイヤの費用が節約できる。
・パンクが発生しないので、予備チューブや携帯ポンプの費用が節約できる。
・補給食や水をコンビニで用意しなくていいし、美味しいお店にも入らないので、補給の費用が節約できる。
・事故の心配が無いので、自転車保険の費用が節約できる。
・直射日光を浴びないので、日焼け止めの費用が節約できる。
・ブレーキをかけないので、ブレーキシューの費用が節約できる。
・走ってヘロヘロになっても輪行で帰る必要がないので、電車賃が節約できる。
・天候に左右されずに走れるので、雨具の費用が節約できる。
・誰にも見られず走れるので、ウェアの費用も節約できる。
ザッと列挙するだけでも、これだけの経済的メリットがあります。FTPテストで175Wしか出せない貧脚が無茶な言い訳で心に棚を作った挙句に、分不相応にもほどがある買い物をしていたとしても、誰も責めたりできないですよね?
価格評価→★★★★☆(Tacx Neo smart T2800の海外通販価格安すぎ)
評 価→★★★★☆(Tacx Neo smart T2800のコスパには勝てません…)